障害年金とは?対象になる条件や仕組みを解説(その1)|吉祥寺の精神科 あすを生きるメンタルクリニック
前回のブログは武蔵野市や三鷹市の就労支援を訪問した感想のまとめでした。今回から3回に分けて障害年金についてご説明します。まず今回は「障害年金とは?対象になる条件や仕組みを解説(その1)」です。
はじめに
精神疾患で通院を続けていると、
「障害年金って自分も対象になるの?」
「働いていたら無理?」
「手帳がないと申請できない?」
「どれくらいの状態だと対象になるの?」
など、不安や疑問を持つ方は少なくありません。
障害年金という名前から、
「身体障害の制度」
「まったく働けない人だけの制度」
というイメージを持たれることもありますが、うつ病や双極性障害などの精神疾患も対象になります。
また、精神疾患では、
・外から見えにくい
・頑張って無理をしてしまいやすい
・周囲に理解されにくい
といった特徴もあり、「自分は対象にならない」と思っていた、という方も少なくありません。
一方で、障害年金は「診断名があるだけ」で受給できる制度でもありません。
・どれくらい生活や社会生活へ影響が出ているか
・どの程度支援や配慮が必要な状態か
という点が重要になります。
今回は、障害年金の基本的な仕組みや、精神疾患で申請する際に大切になるポイントについて整理していきます。
障害年金とは?
障害年金は、病気や障害によって生活や仕事に大きな影響が出ている場合に受給できる公的年金制度です。
「年金」という名前ですが、高齢になってから受け取る老齢年金とは別の制度です。
精神疾患も対象となっており、例えば、
・うつ病
・双極性障害(双極症)
・統合失調症
・発達障害(ASD, ADHD)
・知的障害
・てんかん
などで、日常生活や就労へ大きな支障が出ている場合に対象となることがあります。
ただし、精神科へ通っているから必ずもらえるというわけではありません。
障害年金では、
・一人で生活を維持できるか
・家事や金銭管理ができるか
・服薬管理が安定しているか
・対人交流へどれくらい影響が出ているか
・就労にどの程度配慮が必要か
など、生活全体の状況を踏まえて判断されます。
また、障害年金には「等級」があります。
精神の障害年金では、主に
・1級
・2級
・3級(障害厚生年金のみ)
があり、生活への影響の大きさによって判断されます。
ただし、これは「つらさの順位」を決めるものではありません。
・どれくらい日常生活や社会生活へ支障が出ているか
・どれくらい支援や配慮が必要か
という観点から総合的に判断されます。
等級ごとの具体的な違いや、
「働いていても対象になるのか?」
「3級はどのくらいの状態なのか?」
については、別の記事で詳しく解説しています。
障害年金には種類がある
障害年金には、大きく分けて
・障害基礎年金
・障害厚生年金
の2種類があります。
どちらになるかは、初診日にどの年金制度へ加入していたかによって決まります。
同じ精神疾患でも、
・いつ初診日があったか
・当時どの年金制度へ加入していたか
によって、受給できる等級や金額が変わることがあります。
なお、「20歳前傷病の障害年金」については、第3回で詳しく解説しています。
【初診日の加入状況と障害年金の種類】
・国民年金に加入していた場合 → 障害基礎年金
・厚生年金に加入していた場合 → 障害厚生年金
・20歳前(年金未加入)の場合 → 20歳前傷病の障害年金
ここで大きな違いになる点として、1級・2級には障害基礎年金と障害厚生年金が
ありますが、3級には障害厚生年金しかありません。
障害年金を受給するための3つの要件
障害年金では、主に
・初診日要件
・保険料納付要件
・障害状態要件
という3つの要件が確認されます。
① 初診日要件 ――「いつ・どこで初めて受診したか」が鍵になります
まず非常に重要になるのが、「初診日」です。
初診日とは、"その症状について初めて医療機関を受診した日"のことです。
精神疾患では、
・現在の診断名がついた日
・正式診断がついた日
ではなく、最初にメンタル不調で受診した日が基準になることがあります。
例えば、
・最初は不眠で内科へ通っていた
・当時は適応障害と言われていた
・後から双極性障害やと診断された
という場合でも、最初の受診日が初診日として扱われることがあります。
また、
・小児科
・内科
・学校から紹介された医療機関
など、精神科以外の受診が初診として認められるケースもあります。
精神疾患では、この初診日の確認が非常に重要になることがあります。
② 保険料納付要件 ――未納があっても免除期間はカウントされるので、まず確認を
障害年金は、公的保険制度のひとつです。そのため、原則として、初診日の前日時点で、一定程度保険料を納めていることが必要になります。
具体的には、初診日の前日時点で、加入期間の3分の2以上の保険料を納めている必要があります(例:加入期間が30か月なら、20か月以上の納付が必要)。
ただし、
・全額免除
・納付猶予
・学生納付特例
なども納付している期間として扱われます。
そのため、未納があっても、必ずしも対象外になるわけではありません。
また、20歳前傷病では、20歳前は国民年金へ加入していないため、この納付要件は問われません。
③ 障害状態要件 ――この要件がもっとも個人差が出やすい部分です
障害年金では、現在どれくらい生活へ支障が出ているかが重要になります。
例えば、
・一人で生活を維持できるか
・家事がどれくらいできるか
・服薬管理や金銭管理ができるか
・対人交流にどれくらい支障があるか
・就労へどの程度配慮が必要か
など、生活全体を踏まえて判断されます。
精神疾患では、診断名だけではなく、
・どれくらい支援や配慮が必要か
・どれくらい生活へ影響が出ているか
・どれくらい安定して社会生活を維持できているか
が重要になります。
また、働いている場合でも、就労状況や職場での配慮内容などを含めて総合的に判断されます。
予告
次回は「対象になる条件や仕組みを解説(その2)」です。またお読みください。
