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20歳前傷病の障害年金とは?|吉祥寺の精神科 あすを生きるメンタルクリニック

[2026.06.04]

前々回から3回に分けて障害年金についてご説明しています。前回は「対象になる条件や仕組みを解説(その2)」でした。今回は「20歳前傷病の障害年金とは?」です。

 

はじめに

統合失調症双極性障害などの精神疾患や発達障害知的障害の方の障害年金では、
「20歳前に初診日がある」
ケースが少なくありません。
たとえば、
・子どもの頃から対人関係が極端に苦手だった
・学生時代から不登校やひきこもりが続いていた
・昔から強い不安やこだわりがあった
・学校生活に強い困難があった
・大人になってから発達障害と診断された
・10代から通院していた
といったケースです。

精神疾患や発達障害では、
「社会人になって突然症状が出た」
というよりも、
「振り返るとかなり前から生きづらさが続いていた」
ということも少なくありません。

第1回第2回では、障害年金全体の仕組みや、初診日・保険料納付要件などの基本について解説しました。
また、別の記事では、1級・2級・3級の違いや、「働いていても対象になるのか?」といった点について整理しました。

今回は、その中でも特に精神疾患や発達障害で関係することが多い、20歳前傷病の障害年金について詳しく整理していきます。

 

20歳前傷病とは?

20歳前傷病とは、その名前の通り、20歳になる前に初診日がある、病気や障害のことを指します。

通常、障害年金では、
・どの年金制度に加入していたか
・保険料を納めていたか
が非常に重要になります。
しかし、20歳前はまだ国民年金へ加入していない時期です。
そのため、20歳前傷病では、通常の障害年金と異なり、
「保険料を納めていたかどうか」
は問われません。

つまり、
「学生時代から症状が続いていた」
「未成年の頃から通院していた」
という場合でも、障害状態に該当すれば障害基礎年金を受給できる可能性があります。
これは、精神疾患や発達障害の方にとって非常に大きなポイントです。

 

発達障害では特に関係しやすい

発達障害では、
・子どもの頃は性格と思われていた
・診断につながらなかった
・本人も周囲も困りごとを整理できていなかった
というケースも少なくありません。
そのため、
「診断されたのは大人になってから」
であっても、実際には20歳前から症状が存在していたと判断されることがあります。

たとえば、
・小学生の頃から集団生活が難しかった
・忘れ物や遅刻が極端に多かった
・感覚過敏や強いこだわりがあった
・不登校が続いていた
・対人トラブルが絶えなかった
などのエピソードが、初診日や障害状態を考える上で重要になることがあります。

つまり、診断された時期と症状が始まった時期は別ということです。

 

対象になるのは1級・2級

ここは非常に重要なポイントです。
20歳前傷病で対象になるのは、
・障害基礎年金1級
・障害基礎年金2級
のみです。
つまり、3級はありません。

以前の記事でも触れたように、3級は「障害厚生年金」にのみ存在します。
そのため、
・20歳前初診
・厚生年金加入前
の場合は、1級または2級に該当しなければ障害年金の対象になりません。

ここは、20歳以降に厚生年金加入中に初診日があるケースとの大きな違いです。
20歳以降に厚生年金加入中に初診日がある場合は、
・3級
・障害手当金
などの可能性もあります。

一方、20歳前傷病では、
「ある程度働けているがかなり無理をしている」
という状態でも、3級が存在しないため認定が難しくなるケースがあります。
この点は、精神疾患や発達障害の障害年金でよく問題になる部分でもあります。

 

初診日は厳密に特定できなくてもよい場合がある

通常の障害年金では、「初診日」が極めて重要になります。
・どの制度になるか
・保険料要件を満たすか
・どの等級が対象になるか
など、多くの判断基準になるためです。
そのため通常は、「○年○月○日」まで細かく特定する必要があります。

しかし、20歳前傷病では、子どもの頃の記録が残っていないケースも少なくありません。
カルテが廃棄されていたり、本人や家族も正確な時期を覚えていなかったりすることもあります。

そのため、20歳前傷病では例外的に、
「中学2年頃」
「高校生の頃」
「15歳頃」
など、おおよその時期で扱われることがあります。
この場合、当時の通院歴や学校の記録、家族の証言なども参考にされることがあります。

もちろん、通院記録や診断書がある方が望ましいですが、通常の障害年金よりは柔軟に考えられることがあります。

 

障害認定日は少し特殊

通常の障害年金では、原則として
「初診日から1年6か月後」
が障害認定日になります。

しかし、20歳前傷病では少し特殊です。
20歳前傷病の場合は、
・初診日から1年6か月経過した日
または
・20歳到達日(20歳の誕生日の前日)
のうち、遅い方が障害認定日になります。

つまり、かなり早い時期から症状があった場合でも、
「20歳になってから障害状態を判断する」
という形になることがあります。

 

所得制限がある

20歳前傷病の障害年金には、所得制限があります。
これは、20歳前は保険料を納めていない「無拠出型」の制度であるためです。

一定以上の所得がある場合、年金の半額停止・全額停止となることがあります。
目安として、年間所得が約370万円を超えると半額停止、約472万円を超えると全額停止となります
(扶養人数によって異なります。詳細は年金事務所へご確認ください)。

ただし、ここでいう「所得」は単純な年収とは異なります。
また、
・障害者雇用
・短時間勤務
・配慮を受けながら働いている
という場合でも、すぐに対象外になるわけではありません。
実際にはかなり細かな計算があります。

そのため、
「働いているから無理だと思っていた」
「収入があるから対象外と思っていた」
という方でも、実際には対象になるケースがあります。

 

20歳になったあとも手続きは重要

20歳になると、国民年金の加入手続きが必要になります。
ここで、
「障害年金を申請するから、保険料は払わなくていい」
と自己判断してしまうと、もし不支給だった場合に問題になることがあります。

たとえば、その後に別の病気や事故で障害が残った際、
保険料未納によって障害年金を請求できなくなる可能性があります。

そのため、20歳前傷病で申請予定の方でも、
・学生納付特例
・納付猶予制度
などを利用しながら、未納状態を避けることが大切です。

実際には制度がかなり複雑なため、
・年金事務所
・社会保険労務士
・医療機関
などへ相談しながら進めるケースも少なくありません。

 

「昔から生きづらさがあった」という方へ

精神疾患や発達障害では、
「大人になって急に困った」
というよりも、
「子どもの頃からずっと生きづらかった」
というケースも多くあります。

しかし、本人にとってはそれが当たり前になっていて、
「障害年金の対象になるとは思わなかった」
という方も少なくありません。

また、
・昔は診断がつかなかった
・家族も困りごととして認識していなかった
・学校へ行けていたから問題ないと思われていた
というケースもあります。

そのため、
「最近診断されたから対象外」
「昔のことだから関係ない」
とは限りません。
実際には、子どもの頃から続いていた困りごとや生活への影響が、
障害年金の判断につながることがあります。

 

おわりに

20歳前傷病の障害年金は、
子どもの頃から続いていた生きづらさが関係してくる制度です。

特に精神疾患や発達障害では、
・昔は診断につながらなかった
・本人も周囲も困りごととして整理できていなかった
・『頑張ればなんとかなる』として見過ごされてきた
というケースも少なくありません。

また、
・働いているから対象外
・最近診断されたから無理
・昔の記録がないから申請できない
と思い込んでしまっている方もいます。

しかし実際には、子どもの頃から続いていた困りごとや、現在の生活への影響を
整理していくことで、障害年金につながるケースもあります。

制度の要件だけで諦めず、まずは現在の生活状況やこれまでの経緯を
一緒に整理することから始めていきましょう。

 

予告

次回はアビリティーズジャスコ武蔵境センターの施設紹介です。武蔵境周辺で就労移行支援を検討されている方はぜひお読みください。

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